社会保険に加入していない会社に怒涛の如く加入指導が来ています。
私は、税理士事務所の仕事で毎月色んな会社にお邪魔するのですが、行く先々でこの相談を受けます。
『年金事務所から手紙が来たんだけど!』
『こんなの、無視しちゃっていいんでしょ?(汗)』
そんな場面に遭遇することが続き、加入指導にも色々なパターンがあることが分かりました。
最初からいきなり、『社会保険に加入しなさい!!』という感じではなく、段階を経て徐々に追い詰めていくという感じです。
そして、いよいよ我慢ができなくなって諦めて加入する、という会社が多いです。
この『段階を経て』というのがどんな感じで進んでいくのかを解説したいと思います。
加入指導は5段階に分けられることを発見しました。
ステージ1 (まずはご挨拶)
会社に郵便が届きます。
中身は、社会保険制度についての説明が書かれた書類が入っています。
・社会保険のこと知ってますか?
・会社には社会保険の加入義務がありますよ。
こんな感じで緩いです。特に社会保険に入れとかそういうことは書いてありません。
しかも、年金事務所から委託された業者が差出人になっていると思います。
はじめて見た人は、『ふーん』という感じで終わると思います。
ステージ2 (アンケートが送られてくる)
次の段階になると、アンケート形式で探りを入れてきます。
質問に答えて返信するようにと書かれた手紙が来ます。
アンケートの中身はこんな感じです。
・会社に役員は何人、従業員は何人いますか?
・報酬(給料)は支払われていますか?
・社会保険についてどう考えていますか?(加入を検討している、資金的に厳しい、メリットを感じないなどを選択させる)
このアンケートの答えを見ればその会社の就業実態などが分かりますから、この段階でもう目を付けられていると言っていいと思います。
ステージ3 (加入手続の督促)
やはり文書での通知で、社会保険加入の手続きをするように求めてきますが、トーンはだいぶ強めになっています。
・何月何日までに加入手続きをしてください。
・場合によっては立入検査をします。その場合は2年前まで遡って保険料をもらいます。
ここまで来ると、今までのんびりしていた経営者も顔色を変え始めます。
なので、この段階で社会保険に加入する会社は多いです。
ステージ4 (呼出)
これも文書での通知となりますが、ついに書面の色が変わります(汗)
ピンクと赤の間というのでしょうか。
・ウチの事務所では『赤紙』と呼んでいますが、直接年金事務所に出頭するようにと書かれています。
年金事務所へ行くと、『いつ加入するんですか?』という具体的な話をされることになります。
ステージ5 (立入検査)
年金事務所の職員が来て帳簿類を確認し、強制的に社会保険に加入させられてしまいます。
そして、加入義務がある限り2年前まで遡って過去の保険料を請求されるという最悪の事態です。
ウチの事務所では、そこまでやられた会社をまだ見たことはありません。
もう本当に悪質と判断されたときなのだと思います。
対応まとめ
どのステージのものであっても、加入指導には真摯に向き合うことだと思います。
無視をしても指導がなくなることはありませんし、正直に答えたらバカを見る、ということもありません。
前までは、比較的古い会社に対して指導が多いと思っていましたが、今年(平成28年)は経営年数も規模も問わず、本当に手当たり次第に指導している気がします。
相手も本気ですから、逃げるのではなく、社会保険料のシミュレーションなど現実的に考えて対策を考えるより他はありません。
パートさんやアルバイトなど非正規の従業員が多いところは、労働時間や日数の削減ができれば加入対象者を減らすこともできます。
まずは専門の社会保険労務士などに相談してはいかがでしょうか?